福島市野田町にある山田歯科の山田康友です。前回に続いて私が考えるスウェーデン式の歯科治療について書いていきます。第3回目は、大きなブリッジを用いた歯周病治療というお話です。今回のお話は、特に重度の歯周病の方(グラグラして咬めない方)向けになります。
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スウェーデンにおける研究により、重度の歯周病になった歯でも、歯茎の手術を含む徹底的な感染除去治療と再発を防止するメインテナンスによって、歯は驚くほど保存できることが証明されてきました。アメリカでも、歯周病治療の理論的根拠はスウェーデンにおける研究によるものが多いので、スウェーデンの歯周病治療は世界基準といってもいいと思います。
ブリッジを用いた歯周病治療と書きましたが、正確にはブリッジによって歯周病が治るわけではありません。歯周病治療によって歯周病が治ったとしても、一旦溶けてしまった骨は基本的にもとには戻りません。ですので、重度歯周病の患者さんの場合、歯周病は治った(=炎症はなくなった)としてもグラグラが残る場合があります。グラグラがあると咬みづらいですし、なにより歯が咬む力に耐えきれなくなって早くダメになってします(試合に勝って勝負に負けるという感じ・・・でしょうか)。
歯を長く持たせるためには、歯をグラグラしない状態にしてあげないといけません。 根の先の固定できない場合(骨を増やすことができない場合)は、歯の頭の方で固定するしかありません。そこでブリッジが登場します。ブリッジには欠損部を埋めることに加え、歯と歯をつなげてお互いに固定することができます(歯と歯がお互いに肩を組むようなイメージです)。
これは、入れ歯やインプラントでは達成できないブリッジだけの利点です。グラグラした歯に入れ歯のバネをかけたら余計グラグラしてしまいますし、インプラント治療を行えば欠損部に歯はできますが、隣の歯のグラグラは当然そのままということです。ですので、重度の歯周病の方の治療後にはブリッジによってグラグラを止めて咬めるようにするという仕上げが必要なのです(専門的には永久固定と言います)。重度の歯周病の方は、残ったすべての歯を連結して固定しなければいけない場合が多いです。このような大きなブリッジに関する研究は、スウェーデンの独壇場です。ブリッジは実は誰が治療したかで成功率が大きく変わる治療です。当然、専門医が治療した方が成功率は高くなります。グラグラした歯に対する治療としては、そこでお役御免と考え抜歯をして、インプラントや総入れ歯にするというのももちろん間違いではありません。しかし抜歯は、歯にとっての死刑宣告です。歯も生きたいと思っていると思います。ご自分の歯を最後まで使い切ってブリッジにチャレンジをしてみて、それでもだめなら次の一手としてインプラントか総入れ歯にするという選択肢もあるということを知っていただきたいと思います。
治療の1例です。写真では伝わりませんが、初診時は歯がぐらぐらの状態でした。徹底的な歯周病治療と、どうしても保存が難しい歯の抜歯を行いました。歯周病が治っても(真ん中の写真では歯茎の色がピンク色になり腫れがなくなっています)歯のグラグラが残ってしまったためブリッジを計画しました。仮歯で形やかみ合わせを整え、14本分もの大きなブリッジを装着しました。患者さんの咀嚼機能は回復され大変満足して頂きました。もちろんブリッジを入れて治療終了ではなく、メンテナンスのスタートになります。
スウェーデンにはダーラナホースという馬の伝統工芸品があり、福島には赤べこがあります。この写真のように、スウェーデン式治療を福島の皆さんにご提供したいと思っております。
看板は、スウェーデンの国旗の色を採用しました。