福島市野田町の山田歯科の山田康友です。
以前の投稿で歯磨きの大切さをお伝えしました。
健康な歯を保つためには、
- ご自身で歯磨きをして(セルフケア)、
そのうえで、
- 歯科医院で定期的にメインテナンス(プロフェッショナルケア)を行い、
生涯にわたってご自分の歯を健康な状態を維持していくのが重要です。
では、具体的にどう磨けばいいのでしょうか。
今回は、歯磨きの仕方について書いていきます。
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- どんな歯ブラシを選べばいいですか
よく聞かれる質問ですが、実は正解はありません。
これまで、歯ブラシのデザインについて、いろいろな研究がなされてきましたが、
理想的と考えられる形は見つかりませんでした。
おそらくは、今後も見つからないでしょう。
テレビCMで常に歯ブラシの新製品が宣伝されていたり、
歯ブラシ売り場ではたくさんの歯ブラシが売られているのは、
歯ブラシの完成形がないことの証明でもあると思います。
(優れた歯ブラシとは、磨き残しが少ないというブラシです。
研究では、複数の被験者に実際に歯ブラシをしてもらって磨き残しを評価していきます。
いわゆる歯磨きが上手な人は、どんな歯ブラシでも上手に磨くので、
歯ブラシのデザインの差が出にくいのです。)
ですので、基本的にはどれを使っていただいても大差はありません。
私がおすすめする条件は、
・ヘッド(ブラシ部分)が小さいもの
(奥歯の奥=一番リスクが高い場所まで届くように)
・ブラシの硬さはふつう
(かためは歯肉を痛める可能性がありますし、やわらかめはコシがなく清掃効率が下がります)
・ナイロン毛のもの
(動物の毛は顕微鏡レベルでは凹凸があり菌の温床になる可能性があります)
くらいです。
ブラシの毛先が広がってきてしまいますと、清掃効率が落ちますので、定期的に交換しましょう。
(ブラシは毛先で清掃するものです。)
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- どう磨けばいいですか
ブラシの毛先を歯に当てて小刻みに動かしましょう。
歯ブラシを大きく動かさずに、小さい幅で動かすのがポイントです。
2~3本の歯を一度に磨こうとせずに1本ずつ磨く様なイメージです。
歯ブラシは、軽く鉛筆のようにもつのが基本です。
磨き方は歯に対して45°くらいの角度で当てるのがポイントです
歯ブラシの時は鏡で見ながら磨いていただくのがおすすめです。
慣れてきたら、テレビを見ながら等の「ながら磨き」でもいいのですが、
最初のうちは、洗面所で歯の形や並びを鏡で確認しながら
自分のお口の中がどうなっているかを知ることが大切です。
磨くのが難しい一番奥の歯は、きちんと歯ブラシが届いているか鏡を使ってチェックしましょう。
この時に歯ブラシが奥まで届いている感覚を覚えておくといいでしょう。
歯は四角でなく丸みを帯びていますので、特に歯と歯の間は、意外に歯ブラシが当たらないものです。
歯と歯の間は歯ブラシでは取り切れないのでフロスや歯間ブラシなどの補助的な器具が必要です。
バイオフィルムは2日間くらいたつと硬くなってきて約10日後には歯石になり始めます。
柔らかいうちに取り除くのが大切です。
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- 電動歯ブラシはどうですか
電動歯ブラシは、単純に電力で振動するもの、音波ブラシ、超音波ブラシに分けられます。
おすすめは音波ブラシです。
歯ブラシは小刻みに動かすというお話をしましたが、
音波ブラシは毎分数万回も小刻みに動いてくれます。
普通の歯ブラシでは、10回(10往復)磨くだけでも少し大変ですが、
音波ブラシですと一瞬で10往復してくれます。
さらに音波ブラシは振動の幅が広いため、歯ブラシの毛先が触れているだけで菌が取れていきます。
超音波ブラシは振動数が細かすぎるため(毎分100万回以上振動)、
1匹1匹の菌は破壊できるのですが、菌の集合体(バイオフィルム)は取れない可能性があります。
その場合は、通常の歯ブラシを併用することになり2度手間にもなりかねません。
菌を破壊して殺さなくても、歯からはがせばいいだけですので、
超音波ブラシのメリットは個人的にはあまり感じません。
ただし、音波歯ブラシでも、歯と歯の間は磨けないのでフロスや歯間ブラシを併用する必要があります。
- おすすめの歯ブラシの順番はありますか
磨きにくいところや、一番リスクが高いところから磨くといいでしょう。
歯ブラシは利き腕で持ちますので、利き腕側の奥歯には磨き残しや磨きムラが出やすい傾向があります。
例えば、右利きの方は、左側の歯ブラシは簡単で、
逆に右側の歯ブラシは手首を返さないといけないので難しくなります。
その場合は、右側の奥歯から磨くようにするといいと思います。
また、過去の虫歯の治療跡も注意が必要です。
虫歯を治療した=虫歯ができてしまった=昔、歯ブラシがうまく当たらずに虫歯になってしまった
ということですので、虫歯の再発リスクが高いということになります。
一般的には、唾液の影響を受けないように、下あごの舌側から磨いていくのがいいと言われていますので、
当院のおすすめする順番を載せておきます。
(習慣化するためには決まった順番のほうがあったほうが好ましいです)
順番を決めるのは、磨き残し部位を作らないという効果もあります。
- フロスvs 歯間ブラシ
どちらも歯ブラシが届かない歯と歯の間を清掃するためには必要ですが、
清掃効率や手間の少なさの観点からは歯間ブラシに軍配があがります。
歯間ブラシは、歯と歯の間にブラシを通してあげれば磨けます。(サイズが合っている場合)
一方で、フロスは歯と歯の間に通して、片方の歯に沿わせて引き上げて、
また歯と歯の間に通してもう片方の歯に沿わせて引き上げなければいけなせん。
歯が全部並んでいる方は26か所もの歯と歯の間がありますので、
なんと52回もフロスを通して引き上げなければなりません。
ただし、歯間ブラシが通らない(歯肉が下がっていない)方は、
フロスを通すだけで両方の歯にあたるため、それで十分です。
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統計的には、多くの日本人が、一日当たり2~3回の歯磨きをしています。
しかしながら虫歯はなくなっておりませんし、
歯周病に至っては成人の8割がかかっているといわれています。
我々も気軽に「歯ブラシ頑張ってください」と言ってしまいますが、
歯ブラシは結構難しいです。
さらに(残念ながら)裏技は存在しません。
日々、増え続ける菌を歯ブラシで落とし続けていくしかありません。
上手と思われている歯科医師や歯科衛生士であっても磨き残しは存在していると思います。
人によってベストな磨き方は違いますので、歯科医院で自分に合った磨き方を教わることが一番です。
我が家のゴジラも歯磨きしています